Journal Hinoko Ameno

新米かあさんの記録です

出産当日の記録 Ⅱ

 

「天雷无妄 (二爻)」

お産はどうなりますか。と易をふるとコレ。

出産前は何回も何回も「天雷无妄」

 

自分勝手な願望をいくら膨らませたところで、 現実を予測することはできません。 むしろ、自分の考えが及びもしないような 素晴らしい出来事が待っているに違いない! と無邪気に信じていた方がいいのかもしれない。 期待は裏切られるもの、 現実は予想を超えてくるものです。

出典: https://tankyuu.net/eki/iching25.html

 

この卦の意味を知ることになる。

 

駐車場に降りた瞬間、持っていた羽根枕を地面に落とし、そこに倒れ 波を凌いだ。

視界にモヤがかかっているよな 夢の中にいるような 現実感のない感じ。

 

産院への小道をはさんだ道は工事(?)をしているようで作業員と大きな車が止まっている。

 

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夫に抱えられ、院までのキツイ下り坂を降りる。検診のたび 何回この下り坂を 夫にしがみついて降りただろう。

 

ドアがひらき、助産師さんに迎えられた時には 柄にもなく彼女にしがみついた。

部屋に通され、チャコール色のまっさらなシーツのベッドに倒れて引き続き枕にしがみつく。

 

このとき子宮口は8cm。

「よくがんばったわ。うまくリラックスできてる。これがMAXの痛みだから。」と言っていた。

 

よかった、これがMAXか。

ならば耐え続けるしかない。

 

「18時から20時には産まれるわー」

 

........は? (たしかその時で14時くらい)

 

これを...あと数時間も!? 

絶望

 

助産師さん、腰をさすってくれているけど 「さすらないでー!」と思った。

けどもしかしたら痛みが和らぐかも、と期待したのと 声を出しただけで 1mm身体を動かしただけで どうにかなりそうな 非常に繊細で危うい波をかかえていたので ただ、耐えていた。

 

呼吸法はもはや消え去り

いつのまにか、絶叫していた。

 

絶叫というより

喉の奥を思いっきり開けて 声帯でなく「喉」という筒そのものから空気を出した。

喉がカッと開くイメージ。全力で開く。

 

「喉と産道が連結しているな」そう思った。赤子が産道をこじあけている。だからそのパワーが声になって、喉を開かせる!

 すごいすごい!

 

誰か別の人が部屋に入ってきた。きっと助産師Fさんと助産院長の娘さんだろう。誰か女性に手をにぎってもらっている。

 

夫が院長と雑談している。「旅行よくするの?」「はい、昨年はベトナムに」

入院のキャリーケースに貼りっぱなしのドイツ鉄道のシールをみてだろう。

 

もう波をこえてもすぐに次の波

到着時の「MAXの痛み」とやらを超えている。

 

1回1回 限界を超えていた。精神はイカれて身体だけが もう降りられないジェットコースターに の せ ら れ て い る。

 

 

「トイレいこう」と院長

「むり!」

 

体制を変えるのでさえ 無理かと思うのに、強制的にトイレへ。

きっとお産が思うように進んでいなかったのかもしれない。

 

トイレから出て部屋に戻ると波。(ほら、きた) 立ったまま夫にしがみつく。身体がふきとばされそうだ。

勝手に自分の頭を何かにこすりつけたくなって 夫の胸に頭をこすりつける。グリグリグリ

 

これ、赤子が産道をグリグリしてるのが私に憑依してる。

 

ここからもう別世界。

いきみもきた。

ベッドの壁に頭をこすりつける。何度も何度も。

赤子がそうしている。

 

「終わりはくるんですか?もう少しですか?」とヤケクソに聞く

 

「それじゃ陣痛遠のく」と院長。

 

助産師さんに誘導され体勢を何度も変える。

うつ伏せ、横向き 足をあげ...

最終的に夫が座っているその上に私が仰向けになった。

 

 

 

何回いきんでも出る気がしない。

こんなこどもだましのいきみで赤子がでてくるわけがない。(と妊娠中、便秘とたたかった私は思っていた)

 

全力のいきみと、陣痛かなんだか知らない波を、ギリギリの精神で のせられるがまま こなしている。そいういう状態。

 

夫いわく「この状態が永遠に続くのかと思った」

 

 

「ダメだわ。全然おりてこない」とか、そんな声がきこえる。

ならば、もっともっともっと!いきもう!

 

何分 何時間経っただろう。

 

夫の手を強く握りすぎていないか?でも確認の声がでない。

ただ、夫は「ん〜〜〜〜〜〜」とわたしに合わせていきんでいる。

 

そのとき

「髪の毛に触れるよ!」と 二週間前に自身も出産を経た F助産師さん。

希望の光がみえた。

 

このいきみでいいんだ。進んでるんだ。「ブツ」がみえてるんだ。

 

そこから何回もいきんでいたら 「ほら!旦那さん、頭!見える?」と。

 

(ああ.....もう無理。からだがムリ。生まれなくてもいい!!!やめたい、やめたいよう)

と思っているうちに スポンとでてきた。