Journal Hinoko Ameno

新米かあさんの記録です

出産当日の記録 Ⅲ

 

 

放心

 

え....... お、終わった...................ああ............終わった!?

ショッキングなできごとで「終わった」ことにしかスポットが当たらない。

 

胸に赤児が載せられる。

産院の薄暗い暖色ライトのせいかな 血色が悪くみえる。髪はボーボー。泣かない。

 

上から水が垂れてくる

どうやら夫は私の上で泣いているようだ。

結果、ベッドに腰かけた夫に抱えられる形 やや仰向けの座位で産んだ。

 

正直 胸におかれた赤児のことは どうでもよかった。映画の告知にすら涙する私が 息子との出会いに全く感動しなかった。

「産まれた」「終わった」その事実に呆然としていた。赤ちゃんも呆然としているようだ。

 


わたしの頭上で夫がへその緒を切った。

 

 

 

「おしも裂けてるね。縫うね。」

 

 

「え!?」

会陰切開なしで産んだため わたしは裂けた。助産師さん曰く 院では稀なケースのようだ。初産だもん。

 

実は わたし 平素、注射でも泣く。

採血で泣く。

 

軽くパニックになるわたしを差し置いて黙々と処置が進む。

 

「イタイ!痛い!!」と言うものの すぎさった陣痛の方がはるかに衝撃で どうでも良い程度のチクチク したら痛みだ。出産という大地震を経て 身体が他者のものになったように 遠く感じる。

このとき体温も38.6℃あった。

汗まみれでハイになっている。

 

 「頭大きい!」「お目めパッチリしている」「血色がいい」など 6畳の部屋でワイワイ処置がすすむ。

「3330g 、頭囲33cm 胸囲33cm 」助産師見習いの院長の娘さんが測ってくれた。

 


わたしは2570g 主人は2800g で出生した。

息子のデカさはどこからきたのか。

わたしでもそんな大きい子産めるのか!!

母は股が裂け、多分尻も裂けたぞ。

 

 

産まれて大分たってから

「性別は!?」

 

 性別を確認することを 夫も私も忘れていた。

 

若い助産師さんが ヒョイと赤児を持ち上げる。

 

「ちんちん!!!!!!」

 

わたしは叫ぶ。

一同爆笑。

 

男...男が産まれた

わたしから男が産まれた

女姉妹で育ち 酒なしじゃあ、男性とうまく喋れやしない私から。

 

 

 

夫も裸になり 産まれた赤ちゃんを抱きしめていた。

 

 

 

しかし喉が渇いて しょうがない。

出産に良いとされるストローキャップは全く役に立たず(でてこねえ) 、水分を存分に摂取できてなかった。

 


「なんか冷たい飲み物ください、、、」

 

 

 

娘さんがオーガニック蜜柑ジュースと氷の入ったコップをもってきた。

 

人生で1番美味しい蜜柑ジュースだった。

 

 

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生後1日 息子の図